広報誌「いてふ」第87号(8月号)
2024.07.31
(2024年8月発行)
防府胃腸病院 広報誌「いてふ」第87号 目次
◇第130回健康公開講座を開催します
日時 9月28日(土)14時~15時30分(受付13時~)
場所 防府市地域交流センター(アスピラート)3階 音楽ホール
開演「100歳まで健やかな胃腸を実現する医と食」
~フレイルやガットフレイルをご存知ですか?~
講師 京都府立医科大学大学院 医学研究科生体免疫栄養学講座教授
内藤 裕二(ないとう ゆうじ)先生
開催に先立ち、講師の内藤先生からメッセージをいただきました
わが国は平均寿命世界一を達成し、いよいよ人生100年時代を迎えようとしている。
超高齢社会(65歳以上の高齢者が人口の21%を超えた社会)のなかで、90歳を迎える
人の割合は、女性で約50%、男性で約25%とされ、平均寿命の延伸だけでなく、健
康長寿対策が求められている。
要介護が必要になった原因の解析でも、約80%がフレイル(加齢により心身が老い衰
えた状態)に由来するとされ、フレイルの早期発見、予防対策が極めて重要である。胃
腸(Gut:ガット)という臓器が果たす役割の重要性を理解していただくためにも、最
近、私たちが提唱している「ガットフレイル」という概念も紹介した。この概念を理解し
ていただき、腸からのWell-beingを目指す戦略、特に食・栄養学からのアプローチを
紹介したい。
◇全職員で取り組む医療安全 医療安全管理者 平井 美香
「to error is human(日本語訳“人は誰でも間違える”)」という報告書が米国医学研究
所でまとめられた1999年、日本でも重大な医療過誤が発生し、マスコミが大き<取り
上げたことを記憶されている方もいらっしゃるでしょう。国をあげて医療安全に取り組
み、病院では医療安全管理体制が義務化されました。
当院も院長直轄の管理体制が整備され、医療安全対策が立てられています。この医療
安全対策におけるテーマを「ウイークリーリマインド」として職員に周知しています。毎
週リマインドすることで日常的にルール遵守の風土醸成を心掛けています。また、イン
シデント・アクシデントレポートによる情報提供を推進し、安全対策の為の業務改善に
活用しています。レポートを基に振り返りを行い、小さな修正、改善を繰り返し行うこ
とで病院全体の安全対策向上に活かしています。
・安全対策は患者さんとともに
「人は誰でも間違える」ヒューマンエラーをなくすことはできません。病院では顔見知
りの患者さんであっても、「何度も」お名前を名乗っていただく場面があります。安全
のための誤認対策にご協力ください。
◇「口腔内フローラ」を整えて大切な歯を守りましょう 言語聴覚士 神田 広美
歯周病の原因菌、悪玉3兄弟「レッドコンプレックス」の一つとして、ポルフィロモ
ナス・ジンジバリス(P.g菌)が有名です。口と腸は遠い位置にありますが、一つの管
でつながっています。口腔内でP.g菌が増えて消化管に流れ込むと、その一部は生き残
って腸内フローラのバランスを崩してしまうことがわかっています。
口腔ケアをしっかり行うことで口腔内フローラが改善し、歯周病菌が体内に入り込む
リスクが減り、腸内フローラの健康状態が維持され、悪化を防ぐことができます。毎日
の口腔ヶアが適正にできているか、見直してみましよう。歯科受診がお薦めです。
◇「腸活コラム❺」口腔ケアと腸活の関係
ヒトは毎日ILから1.5Lの唾液とともに、約1.5兆個もの口腔細菌を飲み込んでいるそ
うです。
以前はこれらの菌類は胃酸で撃沈されると考えられていましたが、実はその一部は
胃の関門を潜り抜け、生きて腸に到達しています。健康なヒトの腸に口腔内細菌が定着
することはほぼないと考えられていますが、歯周病があったり、腸の粘膜の破綻などが
あったりすると、口腔内の悪玉菌が腸管に定着して、環境を乱します。口腔内フローラ
と腸内フローラは相互に影響しあっており、腸内フローラが乱れて免疫が低下すると、
口腔フローラが悪玉菌優位になって歯周病などが発生。これにより、悪玉菌が更に増殖
して腸管に至り、腸内の環境を更に悪化させるという、負の連鎖が発生し、さまざまな
疾患の誘因となります。
口腔内の悪玉菌は歯肉などとの境目や齲歯などから血液の中に入り込み、全身に影響
を与えたり、誤嚥により病原菌の定着や活性化を助けて肺炎を引き起こしたりもしてい
ます。口腔内の咀嚼で始まっておしりから元気に出ていくまで、健康管理には、消化管
がとても重要です。少し前にL8020乳酸菌の有用性が報告されましたね。健康プロジェ
クトでお口のケアに取り組んでみませんか。特に手術前には歯科受診が重要です。
◇第2回YAMAGUCHI消化器疾患研究会【ハイブリッド形式】
当センターとヴィアトリス製薬の共催により、ハイブリッド形式で開催します。ぜ
ひ、ご参加ください。
日時 2024年9月6日(金)18:50~20:00
場所 防府消化器病センター5階会議室+Web配信
座長 病院長 三浦 修
演題 『慢性便秘症の診断から治療まで』
演者 高見 太郎 先生 山口大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授
登録用URL https://zoom.us/webinar/register/WN_wGGV1gR1SgWAGa1v3YueYA
〇8月の外来診療予定表 ☚クリック
「いてふ」の診療予定表またはホームページ内の外来医師担当でご確認ください
〇Editorial Note 事務局長 栗林 左知
本格的に夏が到来しておりますが、皆様、夏疲れはございませんでしょうか。「暦の
上ではまもな<秋」と聞いても、さて、と考えてしまいます。以前はお盆が過ぎれば朝
晩涼しくなるのが常でしたが、昨今はそういうわけにもいかず、夜間の熱中症予防のた
めにも空調を欠かせなくなりました。気が滅入らない程度の怪談か、胃腸を冷やし過ぎ
ない程度の涼菓など自分に合った手段で整えてまいりましょう。当院の健康プロジェク
トも来月山場を迎えます。京都府立医科大学の内藤教授のご講演に乞うご期待です!
一般財団法人 防府消化器病センター 防府胃腸病院 所在地:山口県防府市駅南町14-33 (山口県の中央部 瀬戸内海に面した街) 診療科目: 消化器外科、消化器内科、内視鏡外科、内視鏡内科、疼痛緩和内科、胃腸外科、胃腸内科、食道内科、外科、内科、放射線科、リハビリテーション科、麻酔科
※ 一般財団法人 防府消化器病センター 防府胃腸病院は、山口県防府市(防府市役所前)にある消化器専門の病院です。 腹腔鏡下手術(単孔式)、腹水治療(KM-CART)、緩和ケア、内視鏡検査・治療(胃カメラ・大腸カメラ)、人間ドック、健康診断・ピロリ菌検査・頸動脈エコー検査) |