CARTCell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy
癌などによる難治性の腹水(又は胸水)を取り出し、濾過器を用いて細菌や癌細胞等を除去した後、アルブミン等の体力維持に有用なタンパク質を濃縮して再び体内に戻す治療法です。
単なる腹水除去では一時的に腹部膨満感や呼吸苦は軽減しますが、タンパク成分の損失により栄養状態や免疫状態を悪化させます。
腹水が溜まると食べられない、腹水を捨てると栄養状態が悪くなる、このようなジレンマを解決するのがCARTです。
当センターで松崎医師(現東京要町病院)が開発したCARTは外圧型に変更し、従来の内圧型の回路がつまりやすく、大量の腹水が処理出来ない、熱が出やすいという問題を解決した治療法です。
腹水を抜くと弱ると言われてきましたが、CARTはこれを打ち破る画期的治療となりました。
対象疾患:
- 各種癌や肝硬変等による難治性腹水
治療効果:
- 重度の副作用がほとんどなく安全に行えます。
- 腹水を全量除去するため、圧迫がとれて大変楽になり、食欲が増す、尿が良く出る等のメリットがあります。
※平均6L除去、腹囲10cm縮小、食欲は7割の人で改善
(第84回日本胃癌学会総会発表) -
但し根本的治療ではありませんので2週間程度で再貯留の可能性があります。その予防としては抗癌剤、免疫療法、ステロイドなどの治療があります。
※ケナコルトAにより明らかな腹水再貯留予防効果を認めました。
(第113回日本外科学会定期学術集会、第51回日本癌治療学会学術集会、第2回国際緩和医療学会ソフィア発表)
治療の実際:
- 2泊3日入院で治療しています。
- 入院当日細いカテーテル(管)を局所麻酔でおなかに入れます。
- 2日目朝から腹水をゆっくり除去します。腹水を処理後、点滴でゆっくり戻し、翌日退院です。
- 保険適応で自己負担は3割負担(約6-7万円)。
- 引き続き緩和ケア目的で入院維持も可能ですが、かかりつけの医師とご相談下さい。
※但し発熱、臓器障害などの全身状態によっては残念ながら施行できない場合もあります。
CARTの実例
副作用や禁忌について
重篤な副作用等はほとんど発生しませんが、報告のある副作用は下記の通りです。
この中で、発熱は比較的多く報告されています。ただし、一過性であることがほとんどで、終了することにより解熱します。
腹水中に感染を起こしているような場合には施行できません。
発熱・悪寒(おかん)頭痛・溶血・血圧上昇・血圧低下・嘔吐(おうと)・
血色不良・ほてり又は呼吸困難・ショック
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