「鼠径ヘルニア」のご紹介
2015.12.11
■ 鼠径ヘルニアとは
鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)、60歳台の男性に多く、お腹に力がかかる作業をよくする人や、便秘ぎみでトイレで力んだりする人、前立腺肥大で排尿時に力む人、喘息や風邪などで咳をよくする人などに多いとされています。女性は20-40歳台に多いとされています。自然に治癒することはほとんどありません。
痛みやおなかのはりを感じたり、急に大きくなる場合は早期手術の適応です。
■ 鼠径ヘルニアの最新手術
鼠径ヘルニアはさまざまな手術があり、従来は鼡径部のやや頭側を7cm切開する直説アプローチ(前方アプローチとも言います)の手術が広く行われてきました。
今でも行われていますが、術後の痛みがやや強く、しばらくは重たいものを持てないなどの制約があります。腹腔鏡アプローチの手術が近年増加しています。
腹腔鏡アプローチのヘルニア修復術にはTAPP法(腹腔内;腸管などのあるスペースから治療する)TEP法(腹膜の外:腸などには触れずにヘルニアの通り道にアプローチし治療する)の2種類があります。内臓脂肪壮年男性に成人とも腹腔鏡下手術のなかではもっとも難しく、最新の低侵襲手術です。
図1のように、これまで複数の小さな傷から行っていた手術を臍のきず1カ所から行います。傷が臍に隠れて見えなくなるので ‘Visible Scarless Surgery(目に見える傷のつかない手術)’とも呼ばれており(図2)、患者さんの満足度が高く、通常の腹腔鏡下手術と比べても疼痛の緩和、創感染の減少、在院日数短縮などの利点があります。
胆石症、鼠径部ヘルニア、虫垂炎、などの良性疾患の手術だけではなく、大腸癌、胃粘膜下腫瘍、血液疾患に対する脾摘術、バイパス手術などにも積極的に行っており、当院では2013年5月から開始しています。外科部長 小西の経験数は300例を超えています。(図3:2015年7月までの症例数)
興味のあるかたは、外来でお気軽にご相談ください。
腹腔鏡下手術 単孔式腹腔鏡下手術
図1:「腹腔鏡下手術」と「単孔式腹腔鏡下手術」
図2: 目に見える傷のつかない手術
図3: 単孔式腹腔鏡下手術 症例数