​広報誌「いてふ」第８５号（６月号）☚クリック

(２０２４年６月発行)

防府胃腸病院　広報誌「いてふ」第8５号　目次

◇手指衛生で命を救う
　　ＷＨＯのグローバルキャンペーンに参加
　◆ コロナ禍を経験した今、伝え合おう
　　　世界保健機関（World Health Organization, WHO）は「手洗いは人を救う」
　　と訴えます。「湯水のように」と比喩されるほど潤沢に水道水が使える国は、世
　　界的にも限られており、衛生的な環境という点で日本はとても恵まれています。
　　コロナ禍を経験した今、たかが手洗い、と考える人は少ないとは思いますが、病
　　原微生物は時に人の手によって運ばれ、身体の免疫機能が低下している方も多い
　　病院などでは注意を要します。当院でも、安心安全な環境を提供するために、手
　　洗いや手指消毒などの「手指衛生」を重要視し、職員ひとりひとりが適切に実践
　　できるよう、手指衛生のリーダー育成に取り組んでいます。
　◆ 手指衛生が必要となる５つの瞬間とは？
　　　ＷＨＯの推定では、適切な手指衛生の実践により、世界規模で何十万人もの命
　　が救われるとされ、「手指衛生が必要となる５つの瞬間」を明示したガイドライ
　　ンの作成をはじめ、これらを浸透させる多角的戦略として、教育や広報、体制整
　　備のほか、年１回グローバルキャンペーンを行っています。
　　　1.患者さんに触れる前　　2.清潔/無菌操作の前
　  　３.体液に暴露された可能性のある場合　　4.患者さんに触れた後
        5.患者さん周辺の物品に触れた後
　　自宅で「同居の方が感染性の疾患にかかっている」「体力が落ちている」などの
　　場合には、ご家族を守るためにも、充分な手指衛生を行いましょう。手指衛生に
　　気を取られて咳や鼻汁などがある場合の咳エチケット（マスク着用）も忘れない
　　ようにしましょう。
　◆当院もキャンペーンに参加し、手指衛生をテーマに「看護の日」イベントでコラボ
　　　当院もキャンペーンに参加し、5月12日の「看護の日」および看護週間とのコラ
　　ボイベントとして、5月14日、「きちんと手洗いできていますか？～効果的な手
　　指衛生について～」をテーマに、実践を含め外来の患者さんへのミニ講演を行いま
　　した。患者さんと一緒に手指衛生を実演し、好評を得ました。

◇「腸活コラム❸」日本古来の伝統食と旬を大切に！
　　　オプジーボなどに代表されるがんの免疫療法においても、その効果に腸内細菌フ
　　ローラが影響しているという研究報告があります。最近では、腸内細菌フローラは
　　遺伝的な多様性の源、病気や免疫、そして薬の相互作用などを含めて関連し、「ヒ
　　トの第二のゲノム（遺伝子）」とまで表現されています。腸内細菌のＤＮＡをすべ
　　て合わせると、ヒトの遺伝子の100倍にもなるとか。腸内細菌に関するデータは国
　　外のものが多くを占めますが、最近の研究では日本人の腸内細菌フローラは欧州圏
　　とも中国圏とも米国圏とも異なり、独自のフローラを形成していることが報告され
　　ました。
　　　日本で育った場合は、食も日本古来の伝統食や「旬」などが今後もキーワードに
　　なるでしょう。自分の腸内のベストバランスの発見にむけて、旬の食材を多彩に楽
　　しみ、古来の伝統の味を大切にいただいてみましょう。味噌や醤油、そして日本酒
　　などは、その醸造蔵全体に生息する独自の菌叢で固有の味が形作られているとか。
　　　もしファストフードや甘味料・合成のうまみ成分で滋味の感性が麻痺しているよ
　　うでしたら、身体の（腸内細菌の）発する内なる声に耳を傾けて、まずは本来の味
　　覚を取り戻してみませんか。京のある老舗料亭では、「翌日に美味しかったと思い
　　出してもらえる味を」と言われているようで、これは、「腸」が喜ぶものをという
　　意味にもとれますね！

　◇新任のごあいさつ
　　　2024年4月、新たに入職したスタッフをご紹介します。どうぞよろしくお願いいた
　　します。

〇6月の外来診療予定表　☚クリック
　「いてふ」4ページ目の診療予定表またはホームページ内の外来医師担当でご確認ください

〇Editorial　Note　　事務局長 栗林 左知
　　６月になりました。湿気を含んだ空気がちょっと鬱陶しい季節になります。日照時間が
　減少するためか、メンタルヘルスにはあまりいい時季とは言えません。網膜で陽光、特に
　朝陽を感じるとセロトニンが刺激されて心安らかに過ごすサポートをしてくれるようです。
　このほか、咀嚼などを含めて、リズミカルな運動でもセロトニンの活性化は促されるよう
　です。梅雨の鬱陶しさを感じるときは、起床後にカーテンを開けて、朝食をしっかり咀嚼
　して、リズミカルな軽い運動で１日を始めてみませんか。